冬のはじめに記録的な大寒波がやってきた。俺たちが住む上鶴戸市も例外ではなく、寒さに凍える毎日を送っている。そんな冬の日の夜、差出人不明のショートメールが届いた。 「窓の外を見て下さい! 雪が、雪が積もっています!」 外を見ると、いつもの住宅街が白銀の別世界に―― 「こんな遅くにごめんなさい。でも、誰より早くあなたに伝えたいと思ったんです」 そのメッセージが最後だった。送り主はわからない。けれど、不思議と恋の予感が胸にはあった。 雪の世界で織りなす、優しく暖かな等身大の恋物語――